あるばとろす廻転おべるたす

詩を書いてます。

龍の眠る空

目覚めを待つ少年が撒いた宝石が

小雨のように降り注ぐ

 

毛布にくるまり、呼吸に気を取られて息苦しくなる夜半

つけっぱなしのテレビから流れる映画のエンドロールで誰かの訃報を知る(R.I.P)

 

閉園間際の遊園地で

色褪せた写真を眺めた

不意に思い出された記憶に支配され

立ち尽くすヴァイオリニスト

 

使い終わった日記の隅に

忘れろ と書いたのか

忘れるなと書いたのかも定かではない

書いたときは絶望を見ていたのに

 

リボンがほどけて風に飛ばされた

空が千切れたような青に染まる指先

飛んだ風船が一斉に空に向かった

龍が目覚める暁



蛍石の灯火

無人のプラットフォーム

田園の匂い

海に続く

 

缶コーヒーじゃちっとも癒えない渇きが

潮風にさらわれて

眼球を抉るような痛みに灼かれる

 

みやげ物屋で栞を買って

太陽に透かした

レモネードをこぼしたこどもの泣き声が

聞こえてくる

 

海鳥が滑空する姿を見た

脳を掠めた思い出は

目覚めを拒み

飛行機雲のようにほどけていく

 

 

神様

砂に埋もれた言葉が涙に洗われて顔を出した

自分で埋めた記憶も波に洗われている顔を出している

そのままさらわれていけばいいのにと思いながら手を放せないでいる思い出したくない記憶

 

満月が照らした海面

太陽に照らされ岩肌が鏡のように反射した

なにかのエフェクト、インプレッション

きっかけにもならない

 

溶岩は長い年月で冷えて凝って宝石になる

人の気持ちは涙になり声になり言葉になれど

形には残らない

 

プールに浮かぶ影

真水でも海水でもない塩素を溶かした水

反射した太陽光は掴めない

自分から出なければどこにも行かれないんだよなと沈みながら思う

 

潜った水のなかで鳴る音楽を聞いた

震動 ピアノ、チェロ、フルートの音色を

追いかけてターンして自由形

息継ぎしたら忘れてしまう

浸って今 思い出して溺れて

 

引っ張りあげられたプールサイドで

言葉は手紙やノートに綴って

音楽は楽譜やメロディーや歌に書き留めるから

宝石を指環や首飾りに仕立てるように

まだその名を知らない情動を形にしよう

そう神様が言う

入道雲みたいに白い顔で



カプリチョーザ讃歌

カプリチョーザのパスタはうまい

あまりにもうまい

うまいのにサービスとしか思えない大皿で、だからひとりだと一皿しかいけない

だからなるべく二人以上で行きたい

おおカプリチョーザ

 

トマトとニンニクはマストとして

イカスミも食べたい

胃のためにサラダも入れる

でも可能なら渡り蟹のクリームパスタも食べたい

大人四人ならぎりいけるかもしれないが

本当はライスコロッケも食べたい

胃がはち切れる覚悟で挑みたい

おおカプリチョーザ

 

カプリチョーザのパスタはうまい

あまりにもうまいので写真を撮るのも忘れてがっついてしまう(ゆえにいつも写真がない)

レギュラーでも取り分け皿つけてくれる

店員さん、なんと優しく親切

サラダにもちろん取り分け皿をつけてくれる

なお写真はない

おおカプリチョーザ

 

食後

昔はコーヒーか紅茶が無料で出してもらえてしかも選べたが

わたしがコーヒーを飲めるようになりしばらくしてからハーブティーになった(※コーヒー紅茶は有料になった)

このハーブティーももちろんうまい

なんか年々うまくなってる気がする

なお写真はない

おおカプリチョーザ

 

 

 

エメラルドの音階

宝石が音楽を奏でたら

どんな音で 音階で メロディーにするのだろう

 

鉱物を掘り当てたようなグロッケン

抱いたチェロの震動、弓が踊る

フルートが呼びかけた妖精たち

砂時計が落とす砂の色 さらさらと舞う

 

下まぶたに涙を堪えたままのきみは

書かなきゃいけない手紙の前で

よく茫然としている

夜風にだけ打ち明けているときは

翠玉のように光る頬を見せて

それで泣いた気になっているんだろうか

 

きみの涙が落ちる音

それはどんな音だろう

月が照らした海面からぱらぱらと昇る

様を見ている

 

ピアノで奏でたアルペジオ、夜風になって月面を撫でた

凍った音が音とぶつかって、雷が暴れる 雨が降り出す

きみの涙が落ちる音、宝石の歌

ブルーブラックの海 飛び込めば無音

きみの手紙に書き留める

エメラルドの音階

かえすがえすも

宇宙がそう言ってるからしかたない

なんとか折り合いをつけるための便利な言葉

本当はアドバイスなんて聞きたくなんてない

 

とりあえず目の前の人より大層なものであってほしい自分の人生

不幸自慢はやぶさかでもない

受け売りをそれっぽく言い換えて

まるで自分の言葉みたいに

 

気づいている自分のダメさからは目を背けて

それなのに本音はなかなか見つけられない

キャッシュと名付けた事象にまつわる感情の機微を

涙で洗って、水に流したふりをする

おおなんと美しい日本の美徳

※どうしようもないことを美徳というのではないまじもんのそれ

 

糾弾されたら「あなたの人生と同じくらいだよ」

と脳内で言い返してリフレイン

たまにもらった言葉に即座に切り返せず

あとから沸いた悔しさで3日くらい余裕で怒ってる

挨拶するのを忘れるほど

 

持っている罵倒は「気持ち悪い」の一辺倒

もっと的確に殺りたいのにダメージを受けてるのは自分だけ

 

あの日暴投になってしまったゴロの処理

それでも私は偉いと思った

それを楽しげに嗤う、或いは罵倒する人が現れてからの後づけの正義感

それも気の毒だったから

自分と重ねたわけでなくても

投げたことに意味があるとか思いたいわけでもなくて

 

なんでだろうね 君が懸命だったからなんだろうね

そんなやつに応援されても戸惑いしかなかろうて

立派なやつがいいよな 応援されるにしても

悪人よりは善人がいい 善人よりは善良な人がいい

善良な中でも声のでかい、なんらかの数字をもつやつがいい

そして悪いところをひとつももたないやつがいい

 

ぼくもそうなりたかった

なっているはずだった

 

そうではないぼく 消えちゃいたいよね

消えちゃいたいよ