あるばとろす廻転おべるたす

詩を書いてます。

2019-10-18から1日間の記事一覧

私の永遠

先生との出会いは永遠でした 永遠は途方なく続くこと 限りなく続く時間それは先生あなたでした 永遠を淋しさだと云った 一瞬のきらめきを永遠の言葉にし伝わらないものを伝えようとする 言葉だけのかなしい人間を 音楽や絵や歌で彩るように 言葉だけで幸せな…

融雪

心臓に見紛う紅葉(もみぢば) 凍った月が照らしていた 鏡のような水面に眠れぬ夜 頼れるものはそんな両手 いたわりを得られるわけでないのに望んだ赤 終演、あの人の望み 白い衣を欲していた 暗闇に溶かすために緋を備えて 染まる靄 融雪 どこかで 待つあの…

頭痛薬

ぜんぜん速くない特急で 海まで薬を運びます 道中眠りこけぬよう お供に古歌をさよならの声がする 細波に砕けない音が 頭痛に似た鈍さが 君の最大のかなしみになるさみしくなれないから さみしいのか さみしいから さみしくなりたいのか

我君を愛す

月のない夜 一瞬の煌めき 頬を伝う雨涙を導に、 死者は夜に探し 星をみつけた海に呑まれて 消え去った文字 書いたものはくさび 無くしたものを悼む 涙が海に溶け その人を導く うたのように

シロップ

ジンジャーエールを飲み干した その痛みは 紫陽花の棘のようだった星のない夜 コピー機を探してさまよった コンビニエンスストアの灯火遠くにきたら からだを置いてきてしまった 映画館で魂を ヴィオラの音をえたいの知れぬかなしみ 交わした歌の美しさ サー…

朝と夜

固く閉ざされた扉から 光が洩れている 朝のことだ固く閉ざした扉から 光が洩れている 夜のことだせまくてくらい場所に押し込んだ あの日の夕陽 忘れてしまいたかった 傷むのは世界のせいじゃないもくれんの花をみた 朝のことだ そんな女とであった 夜のことだ

水族館

さっき飲み込んだ星が いま喉に支えて苦しみの 顔をするジンベイザメその大きいからだを揺らしながら 眠るように回遊する 30センチの壁の向こう蒼色に染めた手をかざし 空に身を浸す いまわたしはジンベイザメの 腹の中とけてひとつになる 海の色、すべてを…

耳鳴り

「耳鳴りがするの」 サイレンのような高い音 ぴーらーぴーらー(耳鳴りの音)鳥の鳴き声のようなギリシャ語 かなしみを表すことばを 叫んでいたアリストテレス「もう聞こえないの」 耳鳴りが止んだという君の 耳にはぽうっと痺れる ような音が残ったという君の…

ゆびさき

雨粒のように ピアノの音が 溢れるようにゆびさきから 思いが伝わると思った 金色の陽射しのなか言葉にしても 気持ちは伝わらない気がした 言葉が伝われば 気持ちだってそれだけのものなのに響く子猫の眠り 幻影を追いかけていた 捕まえてしまえば 霧散する…

永遠の世界を生きる 機械だった かたまりヴァイオリンの音があふれていた 小鳥がうたっていた こもれびが揺れていたそれもすべて 夕闇のなかに あの色は あの人のヴァイオリンの音永遠のかたまり 繰り返す記憶を泳ぐ まるで生きているように 機械、死なない…

紡いで

あの日途切れた音を あの人が拾って弦にした 金色の弦に奏者が抱きかかえるように鳴らすチェロは ちょっと大きくてちいさいヴィオラ ただ大きさだけの話あの日途切れたヴァイオリン 音色はあふれているのに その人から紡がれないから 聞こえない飛び回る金色…

路面凍結

凍った地面を踏みしめて まだ眠さに閉じそうな 瞳が見つけた昨夜舞ったぼたん雪 いま地面を覆う薄氷 きみが昨日までに流した涙に似て夜のうちに隠したから 凍ってしまった気持ちの一部を 僕は踏みにじって進むけど きいろいあひるは抱きしめる

ラストインブルー

たゆたう薄暮 紺色の空 私は永遠をみる胸を軋ませる色 青く染まると からだ全体で夜みたい雨の色のようなコーヒーの苦さに顔を しかめた 宵闇に似ている すべて寂しさの色

ジュリエット

あなたはだあれ 私じゃない あなたでもないあなたがあなたでなくなっても あなただけど 私の知ってるあなたじゃない私の知ってるあなただろうと そうじゃなかろうと あなたはあなただったけれど あなたはねえ どうしてあなたなの?

恋してるのと少女が云った 恋とは何かと訊ねたら いつも寂しさを抱えることよと 笑って云った

寂しさ

こぼれたのは 涙だったか 言葉だったか永遠のような距離や時間を あなたのとなりで一瞬の十年を体感したら 眠気さえ飛ぶ 2月の暖かさが 悲しみを呼ぶ